東日本大震災で得た課題で安否確認を自動化するために専用システムを導入
- 社名
- 株式会社アトックス
- ユーザー数
- エリア
- 掲載日
- 2022.10.12
課 題
人事情報のメンテナンスに膨大な作業工数が発生
対 策
人事管理システムとAPI連携ができるシステムを検討
効 果
人事情報のメンテナンスにかかる時間や手間が大幅に削減
安否確認メールの回答率が13ポイント増加・約270名の従業員が改善
安否確認システムの活用の文化が根付いた
東日本大震災で得た課題ー安否確認を自動化するために専用システムを導入
お話を伺った方
安全・品質保証部長 熊谷和泰様
人事労務部長 髙田真孝様
人事労務部 副課長 鈴木正明様
人事労務部 副課長 池田央様
人事労務部 矢野真幸様
事業内容について
熊谷: アトックスは、原子力関連施設のメンテナンスを草創期から手掛け、半世紀に及ぶ技術力の蓄積により原子力施設のメンテナンスサービスの総合エンジニアリング企業へと成長しました。数多くの現場で培ってきた確かな技術力と、高いスキルを備えた人材力を活かし「人×技術でNext Stageへ」というスローガンのもと、より高品質なサービスを提供し、サステナブルな環境実現に取り組む日本のエネルギー産業をサポートしています。
東日本大震災を経験して情報収集の仕組みを見直し
熊谷: 安否確認システムを導入する以前は、災害が発生した際は緊急連絡網を確認して、電話やメールで従業員の安否確認をしていました。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、主要な連絡ツールであった携帯電話は電気通信事業者が通信規制を実施したため、一時的に電話が繋がらなくなり、情報収集の仕組みが一部機能しませんでした。
熊谷: 福島県においては東京電力福島第一原発事故の影響で、市町村長から避難指示が発令されたため、避難所などに調査隊を派遣し人的に従業員の安否確認をしました。全従業員の情報収集に2週間かかった結果を踏まえ、災害発生時などの緊急事態において情報収集・共有を迅速にする手段はないかと考えていたところ、人事情報を登録し、地域を設定するだけで従業員の安否情報を自動で収集できる安否確認システムの存在を知りました。
付き合いがあったA社が安否確認システムを提供していて、限定的ではありましたが一部の災害であれば安否確認を自動化できることが確認できたため、比較を行わず本社の従業員200名を対象にテスト導入しました。
災害時の従業員の安否確認を自動化して、迅速に情報収集ができるようにすることは大きな課題でした/熊谷様 |
メンテナビリティの高い製品へ乗り換え、人事情報のメンテナンス工数を大幅削減
人事情報のメンテナンス業務を一元化
鈴木: 毎年約100名程度の人事異動があり、頻繁に人事情報をメンテナンスしています。人事情報管理はシステム開発会社に委託し開発した自社独自の人事管理システムで行なっていて、A社の安否確認システムは連携することができず、重複してメンテナンスする必要があり膨大な作業工数が発生していました。人事情報のメンテナンス業務を夜間に対応するなど、労働生産性の低下を感じ、人事管理システムと人事情報を連携できるトヨクモの安否確認サービス2へ乗り換えました。
安否確認サービス2の導入後は、人事情報のメンテナンス業務が一元化されて、人事管理システムの情報が自動的に反映される仕組みになり、業務効率が上がったことで、労働生産性が向上したと思います。
正確な情報で運用できる
鈴木: 人事情報管理が煩雑になると、各システムで管理している情報に差異が発生するリスクが増えます。例えば、人事管理システムと安否確認システムに登録されている人事情報が異なっていた場合、安否確認システムに登録されている情報に誤りがあれば、いざという時に従業員の情報収集ができない可能性があると思います。こういった状態では、災害時の業務を効率化する専用システムを導入しても、意味がありません。だからこそ、正確な情報で運用するために、安否確認サービス2の人事情報連携機能は絶対に必要です。
人事管理システムと連携したことで、業務の負担が減りました/鈴木様 |
メーカー主催の訓練と自社訓練で課題をブラッシュアップ。安否確認メールの回答率が13ポイント増加、約270名の回答が増えました
トヨクモ主催 全国同時一斉訓練
一斉訓練は、安否確認サービス2をご利用いただいている全てのお客様を対象とした、当社主導の訓練です。参加を希望いただいたお客様の環境に登録されている、全てのユーザーに設問付きのメールを配信し、回答率や回答までにかかった時間を数値化、全体の結果と比較した個別レポートを無償で提供するという取り組みです。
この訓練は、お客様に安否確認サービス2の活用度合いを確認いただき、改善の一助としていただくと共に、実際の災害に近い条件で配信・回答していただくことによる負荷試験も兼ねています。
髙田: アトックスでは、防災の視点から自社で定期訓練を実施していますが、メーカー主催の訓練で安否確認メールの受信、回答、集計状況を踏まえた議論と実際の災害と同様の流れを確認できて、さらに、訓練後に提供される結果レポートから振り返りができることから、継続して参加をしています。
これまでに2回一斉訓練に参加して、その都度結果レポートを踏まえ、一斉訓練後(11月)に再訓練を実施し、一斉訓練で得た課題改善や従業員の安否確認の意識向上に努めています。2021年の一斉訓練では、結果レポートから従業員の回答率を改善できると感じて、現状報告・改善のために資料を作成し、従業員へ周知しました。結果として再訓練では、一斉訓練と比較して回答率が13ポイント増加し、約270名の回答が増えました。
事前に何か準備はされましたか?
矢野: 実施日の1週間前に従業員へ告知をしました。これには、2つの目的があり、通知先の登録情報を最新情報に更新すること、従業員に訓練に参加する意識を持たせて、能動的に訓練に取り組んでもらうことです。災害を想定して、告知をしないで訓練をすべきという考え方もありますが、結果的に従業員が訓練に参加をしなければ、安否確認サービス2の操作の流れを認識させることができません。「一度も使ったことがない」をなくすために、訓練の効率を最大化させるために、事前に告知をすることは重要だと考えています。
一斉訓練がきっかけで回答率が大幅に高くなり、メーカー主催の訓練は重要だと感じています/高田様 |
一斉訓練開始
一斉訓練の通知は届きましたか?
矢野: 安否確認サービス2のスマートフォンアプリに通知が届いています。プッシュ通知をタッチすると設問フォームが表示されて、直感的に操作をすれば回答ができるので、使い勝手の良さを感じています。
職員の方の回答状況はいかがですか?
池田: 現時点で、310名の従業員が回答しています。想定よりも、早く回答が集まっているので一安心です。 従業員が一斉訓練に能動的に参加している様子を確認できて、安否確認サービス2を使ってもらい、操作の流れを認識してもらうという目的は達成されると感じました。
直感的に操作して、簡単に回答できるところに魅力に感じています/池田様 |
安否確認サービス2の導入で事業継続において最大の経営資源である「ヒト」を迅速に把握し確保する
「ヒト」を大切にした防災改革
髙田: アトックスの企業理念は「環境とエネルギーの課題解決に寄与し、社会の発展と社員の幸せに貢献する。」です。安否確認サービス2の導入目的は、災害発生時などの緊急事態に従業員の安否情報を迅速に収集することです。事業継続をして迅速な復旧が可能になるほか、その情報をもとに自社の従業員に命を守るための行動を指示することも可能です。
従業員を大切にして、防災改革を進める、その中心に安否確認サービス2があると思っています。特徴でもある、充実したコミュニケーション機能を活用して、インターネット上で活発に情報発信・共有ができる環境が実現することを期待しています。
首都直下型地震を想定した行動指針を策定
池田: 東日本大震災の経験と反省を踏まえ、首都圏直下型地震を想定した「大規模災害発生時」における行動指針を策定しました。安否確認サービス2は、事業継続において重要なツールであるため、平常時も活用することを心がけています。
自動配信が可能な地震・津波・特別警報において、緊急度の高低に関わらず、従業員が高い危機意識を持って活用できる仕組みを整えていきます。
一斉訓練の後日談
結果レポートを参考に安否確認サービス2の運用をブラッシュアップ
池田: 一斉訓練の結果レポートをもとに社内報告用の資料を作成し、訓練結果を経営陣へ報告しました。回答率は前回の訓練から大幅に向上し、参加企業の回答率平均よりも高い数値であったものの、100%に至ってない結果を踏まえて、未回答者の意識改善や配信未到達者の通知先登録を課題として、安否確認サービス2の運用をブラッシュアップしていきます。